本ページはアフィリエイト広告を利用しています

こんにちは、黒ひげ コンサルです。
協同組合に関する「お困り事」の解決ヒント情報を発信中です。
今回は、組合員が協同組合を脱退する場合の手続きと持分の払戻しについて検討します。
先日、ある協同組合の事務局担当者さんから、次のような質問を受けました。
質問の内容
組合員から協同組合を脱退したいと申し出がありました。
その上で、出資金を返して欲しいと言われました。
対応を教えてください。
脱退の種類について
組合員の脱退には、次の2種類があります。
(1)自由脱退
組合員が任意に脱退する場合。
原則、事業年度末の90日前までに脱退予告が必要。
どのタイミングで脱退予告をしても、脱退する時期は事業年度末となる。
(年度末まで組合員でなければならない)
(2)法定脱退
組合員の廃業、組合員資格事業の廃止、個人事業主の死亡などにより脱退する場合。
法定脱退の場合は、その事実が発生した時点で脱退となる。
自由脱退、法定脱退ともに組合員が脱退する場合は「脱退届」を提出してもらいます。
組合によって脱退届の様式は様々ですが、簡易的な様式を例示します。
組合員の持分について
組合員は、協同組合に加入する際に「出資金」を払い込みます。
そして協同組合を脱退する時には、「持分」の払戻を受けます。
持分とは、組合員が協同組合に対して有する財産の取り分のことです。
例えば「協同組合を解散して、財産を組合員全員で分配する場合に、自分はいくらもらえるのか」のような考え方です。
持分の計算方法は、協同組合の定款で算定方法が定められています。
協同組合によって算定方法は違いますが、一般的には次のような方法が多いです。
(持分)
第〇条 組合員の持分は、本組合の正味資産につき、その出資口数に応じて算定する。
2 持分の算定にあたっては、○○円未満の端数は切り捨てるものとする。
正味資産とは、貸借対照表の純資産のことです。
純資産の額を、協同組合の出資総口数で割って、出資1口あたりの持分を算定します。
「出資1口が10,000円」「出資総口数が100口」「出資総額1,000,000円」の協同組合を想定し、下記に3パータン例示しました。
f85c265610d9f2d2514ccd0e77a5061aパターン①は、出資1口10,000円に対し、出資1口あたりの持分が15,000円です。
協同組合が利益や準備金など内部留保を蓄積できた場合、純資産が大きくなります。
出資総額1,000,000円に対し、純資産が1,500,000円なので、増加した分、持分が大きくなります。
パターン②は、出資1口10,000円に対し、出資1口あたりの持分が7,000円です。
協同組合が損失を計上した場合、純資産が小さくなります。
出資総額1,000,000円に対し、純資産が700,000円なので、減少した分、持分が小さくなります。
パターン③は、出資1口10,000円に対し、出資1口あたりの持分が△1,000円です。
協同組合が出資総額を上回る損失を計上した場合、純資産がマイナスになります。
出資総額1,000,000円に対し、純資産が△100,000円となります。
協同組合の組合員は出資した金額以上の責任を負わない有限責任なので、マイナスの場合は持分0円となります。
算定した出資1口あたりの持分額に、出資した口数を掛けて、組合員の持分額を計算します。
なお、持分を算定する時期(純資産の額が確定する時)は、協同組合の決算書類が通常総会で承認されたタイミングとなります。
持分の払戻について
上記の算定方法により、組合員ごとの持分額が計算されます。
協同組合を脱退する際には、持分の払戻を受けることができますが、持分の内いくらが払い戻されるのかは定款の規定によります。
多くの協同組合が、次のような定款規定になっております。
(脱退者の持分の払戻し)
第〇条 組合員が脱退したときは、組合員の本組合に対する出資額(本組合の財産が出資の総額より減少したときは、当該出資額から当該減少額を各組合員の出資額に応じて減額した額)を限度として持分を払い戻すものとする。ただし、除名による場合は、その半額とする。
算定した出資1口あたりの持分が、出資した金額を超えた場合であっても、出資した金額を限度として払い戻すという内容です。
10,000円を出資したのであれば、払い戻される持分も10,000円となります。
協同組合を継続的に運営・維持するために、ほとんどの協同組合が、定款で持分の払戻を出資額限度と定めています。
また、組合財産(純資産)が出資総額より減少した場合、払い戻す持分も減少します。
上記のパターン②やパターン③の場合です。
パターン③の場合は、払い戻す額がなく0円となります。
脱退から持分払戻の流れ
脱退から持分払戻しの流れをまとめると、次の様になります。
① 脱退予告(自由脱退の場合)
年度末90日以上前までに協同組合へ脱退の予告。
② 組合員の脱退
自由脱退は事業年度末で脱退。法定脱退はその時点で脱退。
③ 持分の算定
組合員の持分は、事業年度末(決算時点)の組合財産で算定し、通常総会の承認を得て確定する。
④ 持分の払戻
通常総会終了後、脱退組合員に持分を払い戻す。
脱退する組合員は、自由脱退の場合は事業年度末、法定脱退の場合はその時点で脱退となりますが、持分の払戻しを受けるのは通常総会終了後となるので注意が必要です。
持分払戻の会計処理
脱退する組合員が、出資1口10,000円で、10口の100,000円を出資していた場合を想定します。
下記に3パターン例示しました。
9e0531d0a3f2b5fbd264537d6743bc89事業年度末に、脱退組合員の出資額を未払持分に振り替えます。
未払持分は、未払金の一種です。
通常総会で決算の承認を得た後に、未払持分を脱退組合員へ払い戻します。
パターン①は、出資1口あたりの持分が、出資1口の金額を超えている場合です。
定款の「出資額を限度として払い戻す」の規定にもとづき、出資した金額1口10,000円を限度に、10口分の100,000円を払い戻します。
パターン②は、出資1口あたりの持分が、出資1口の金額を下回っている場合です。
事業年度末に、脱退組合員の出資額を未払持分に振り替える処理は同じです。
通常総会後に、未払持分を払戻すのですが、出資1口あたりの持分が7,000円なので、10口分の70,000円を払い戻します。
未払持分と払戻金額との差額は、資本準備金(純資産)として計上します。
パターン③は、出資1口あたりの持分がマイナスの場合です。
事業年度末に、脱退組合員の出資額を未払持分に振り替える処理は同じです。
脱退組合員に払い戻す持分が0円なので、通常総会後に未払持分を全額、資本準備金として計上します。
まとめ
今回は、一般例として説明させていただきました。
協同組合の定款の内容や、組合財産の状態によって今回とは違う対応になることもあります。
また、組合や組合員の置かれている状況によってセオリー通りにいかない事もあると思います。
その場合は、事務局だけの判断ではなく、理事会など組織の機関決定を経るようにしましょう。
おまけ(一味ちがう『グルテンフリー』な贈り物)
ビジネスでの手土産品や、大切な方へ贈答などで、お菓子の詰め合せを準備することがあると思います。
そんな時に、最近に話題になっているグルテンフリーなお菓子はいかがでしょうか?
グルテンフリーは、小麦粉を使わずに米粉などを中心とした製法で、おいしい健康食としてここ数年で注目を集めております。
私のおススメは、築野(つの)食品の「あんこサンドクッキー」です。
ちょっと値段は高めですが、米粉特有のしっとりした食感が絶妙です。
高級感もあるので、もらった相手のインパクトは絶大です。是非、お試しください。
